経済:オフィスを利用する産業の就業者数は第4四半期に増加
11月のニューヨーク市の総就業者数は、前年から115,900人増加して470万人近くを記録し、 2020年2月のピークを僅かに18,900人下回るのみとなった。金融サービス業の就業者数は11月に僅かに減少し494,700人となったが、前年比では16,800人増加した。
民間部門における就業者数は過去12か月で132,700人増加して史上最高の420万人となり、娯楽関連・接客サーピス業の就業者数は前年比で38,900人増加した。
情報サービス業の就業者数が今年1年で32,800人減少した一方、教育・医療サービス業の就業者数は直近5か月間で着実に増加し、史上最高の120万人となった。ニューヨーク市の推定オフィスワーカー数は前四半期に減少していたが、11月には上昇に転じて150万人弱となった。
需給:第4四半期の新規成約面積は大幅に増加
直近5四半期のリーシング活動が不調だった一方で、12月に過去16か月で最大規模となる260万平方フィート(sf)の賃貸契約が成立したため、当該四半期のマンハッタンの新規成約面積は530万sf近くまで大きく増加した。
当該四半期には新規かつ拡張の10万sf超の大型取引が8件成約した。四半期の新規成約面積は増加した一方、年間累計では前年比25.9%減の1,800万sfとなり、過去5年平均の2,170万sf対比では約17.0%の減少となった。
年間新規成約面積累計のうち74.5%はグレードAオフィスであり、従業員のオフィス回帰を促すために良質なオフィスを選好するテナントの傾向が反映されている。
年間更新面積は前年比で9.9%増加し720万sfとなり、新規成約面積と更新面積の年間累計は2,530万sfとなったが、2022年の3,080万sfと比べると減少。
当該四半期のマンハッタン全体の空室率は前期比70bps上昇し22.8%となった。 上昇の背景は、累計220万sfの空室面積に相当する新築またはリノベーション物件が3件竣工したこと、加えて、8つの募集区画のうち6区画はミッドタウンに所在する新規募集が発生したためである。サブリース形式の賃貸面積は0.8%微増し2,200万sfとなったが、2022年末の2,230万sfと比べれば、減少。
年初来のマンハッタン全体のネット・アブソープション(吸収需要)もプラスに転じ490,116sfとなった。
サブマーケット別にみると、ミッドタウンでは、Penn 2の募集賃料が平均を上回っていたことが一因となり、グレードAオフィスの募集賃料が前期比$1.42psf上昇し$85.44psfとなったため、全体の募集賃料は前期比$1.07psf上昇し$78.23psfとなった。ミッドタウン・サウスでは、One Madison Avenueが竣工、さらに高価格帯となる15 East 26th Streetもマーケットに供給されたことで、全体の募集賃料は前期比$2.47psf上昇して$78.17psfとなった。ダウンタウンでは、全体の募集賃料は僅かに$0.12psf上昇して$55.74psfとなった一方、グレードAオフィスの募集賃料は、$59.71psfのままで据え置きとなった。