「人口動態の変動:2030年の世界」と「2020年に注目すべきこと」の両レポートでは、東南アジアの明るい未来を浮き彫りにしました。実際のところ、東南アジア地域は、アジア太平洋の「日の当たる10年」の重要な推進力となっています。
ASEANは経済において重要な原動力となっており、2019年の世界経済規模は約3.0兆ドルで6番目に大きく、アジア太平洋地域全体の約11%に相当しています。中国が49%、日本が約16%、インドが9.5%の貢献でした。今後10年間で、ASEANは年平均4.9%の年率で成長し、4.9兆米ドルに達すると予測されています。
人口動態の観点から見ても、この地域は高い将来性を持っています。ASEANの人口は現在6億6,000万人以上、中国の人口の半分弱に相当し、そのうち4億5,000万人が生産人口(15歳~64歳)です。2030年までのこの10年間に、これらの人口はそれぞれ7億2500万人、4億8800万人に拡大すると予想されています。人口統計学的な恩恵と経済拡大が、今後10年間同地域を牽引していくことでしょう。
刻々と変わる新型コロナウイルスの状況の中で市場が展開している昨今、長期的なトレンドから目を離し、短期的なショックや直後の余波だけに注視してしまうこともあります。
しかし、ASEANを変貌させているこれら根本的な推進力は、この危機が我々をどのような場所に導いて行くかどうかに関わらず、本質的な重要性を持っていると確信しています。
本稿では、それぞれに補正された「中国プラス1」の製造戦略を採用する企業数の増加や、それらが商業不動産に与える影響に注目しながら、これら推進力のいくつかについて見ていきます。